曙綜合法律事務所 AKEBONO LAW OFFICE

事務所通信
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セクハラパワハラ研修(田中智隆弁護士)

はじめまして。

弁護士の田中智隆と申します。

 

さて,雑多なことを気ままに書くということで始まった事務所通信ですが,ちょうど先日,事務所の顧問先でセクハラパワハラ研修の講演をしてきたばかりなので,今回は少し真面目にセクハラについての導入の話をしたいと思います。

読んで頂いた方のハラスメントに対するアンテナが,少しでも強くなってもらえれば幸いです。

 

さて,

「結婚しないの?」

「彼氏(彼女)いないの?」

「彼氏(彼女)とは休日なにしているの?」

このような発言を日常会話の中で何気なくしてしまうことはないでしょうか?

 

実は,セクハラに該当してしまう可能性があります。

最近,「まだ結婚できない男」というドラマが,阿部寛さん主演で13年ぶりに始まりましたが,阿部寛さん演じる“結婚できない男”桑野信介は,職場など周囲から「結婚しないの?」等言われ続けており,常にセクハラの被害にあっている可能性があります。

 

男女雇用機会均等法第11条には,セクハラに関して,「事業主は,職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け,又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう,当該労働者からの相談に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と記載されています。

 

ここで怖いのは,「性的な言動」にあたるか否かが,言われた側の主観によるところが大きいことです。

つまり,言われたりした側が「嫌だな」,「不快だな」と感じてしまえば,セクハラに該当してしまう可能性があります。

桑野さんも,「結婚しないの?」と言われて不快に感じていれば,その発言はセクハラにあたってしまいます(桑野さんは意に介していないかもしれませんが・・・)。

 

壁ドン,あごクイ,肩ズン・・・,一時期萌えるシチュエーションとして話題になりましたが,どんなに自分がイケメンだと自負している方でも,これをやれば女性は喜ぶと思い込んでいる(勘違いしている)方でもやらないほうが絶対によいです。

前述のとおり相手が「嫌だな」,「不快だな」と感じてしまえば,セクハラに該当する可能性があります。最悪,脅迫罪,暴行罪,強制わいせつ罪に該当しかねません。

許されるのは漫画,ドラマの世界だけだと思っておいたほうが無難です。

たとえ,飲み会の席などで場を盛り上げようと思い,漫画・ドラマの真似をして行ったつもりであっても,相手が不快に感じないとは限らず,やらないほうがよいです。

 

これら以外にも,「お茶くみは女の子がやってね」といった性別役割分担意識に基づく発言,「髪切ったんだね。きれいだね」などの褒めたつもりの発言等もセクハラにあたる可能性があります。

 

このように,日常のごくありふれた会話の中にもセクハラの危険性は潜んでいます。

業務の円滑な遂行のためにコミュニケーションは大事ですが,相手に嫌がられてまで行っていては,業務の支障になりかねませんし,性的な発言を控えたところで,業務の生産性が落ちるということはありません。

 

厚生労働省は,10月28日,職場のハラスメント防止対策の強化を柱とした女性活躍・ハラスメント規制法を施行する日程案を示し,パワハラ防止は,大企業で2020年6月1日から,中小企業で2022年4月1日から,それぞれ義務化するとしました。セクハラについても対策が強化されます。

 

今後,セクハラパワハラ研修が必要だと感じた方がいらっしゃいましたら,当事務所までご用命ください。

 

最後まで読んで頂き,有難うございました。

 

弁護士 田中智隆